SSブログ

田母神論文を読んで(3)後半

早速続きから。
《論文より》 さて日本が中国大陸や朝鮮半島を侵略したために、遂に日米戦争に突入し3百万人もの犠牲者を出して敗戦を迎えることになった、日本は取り返しの付かない過ちを犯したという人がいる。しかしこれも今では、日本を戦争に引きずり込むために、アメリカによって慎重に仕掛けられた罠であったことが判明している。実はアメリカもコミンテルンに動かされていた。(後略)

■秦氏
バージョンを変えて繰り出してくる「ルーズベルト陰謀説」の一種だ。
ミステリー小説のたぐいで、学問的には全く相手にされていない



戦争を「罠」で片付けようとする自衛隊最高指揮官ってどうなの・・・
ルーズベルトは戦争をしないという公約で大統領になったため、日米戦争を開始するにはどうしても見かけ上日本に第1撃を引かせる必要があった。日本はルーズベルトの仕掛けた罠にはまり真珠湾攻撃を決行することになる。

すると、日本が真珠湾攻撃を決行しなければ日米戦争は起きなかったのかな。
日中戦争は、相手の挑発に乗っちゃって被害者になり、
日米戦争は、相手の罠にはまっちゃって300万人もの犠牲者を出して敗戦。

これでは取り返しのつかない過ちを犯したといわれても当然です。

過ちを犯したという人がいる、という意見を自ら紹介しながら、
それに対して否定しない、疑問を呈することもしないって、一体どういうこと?
(罠だったというのは何の回答にもなっていない)
読んでる方はこの展開にイライラさせられる。
さて日米戦争は避けることが出来たのだろうか。日本がアメリカの要求するハル・ノートを受け入れれば一時的にせよ日米戦争を避けることは出来たかもしれない。しかし一時的に戦争を避けることが出来たとしても、当時の弱肉強食の国際情勢を考えれば、アメリカから第2、第3の要求が出てきたであろうことは容易に想像がつく。結果として現在に生きる私たちは白人国家の植民地である日本で生活していた可能性が大である


ハル・ノートを受け入れたら現在の日本は白人国家の植民地の可能性が大?
あのねぇ〜、
日本は戦争という道を選び、無条件降伏という最悪の結果になりました。

それでもいま現在、植民地になどなっていないのです。

この現実をどう考えているのでしょうかね。
外交交渉を進めたら、ボロ負け無条件降伏よりさらにひどい結果になる……
日本の外交能力ゼロ以下、無能の極みという考えなのか。
随分と自虐的なんですね、この筆者は。

いや、もしかして、
我慢強く外交交渉を重ねるよりも、実力行使に出た方が良い結果を生むぞ!
という意識を読者に植え付けようという狙いだったりして。
文明の利器である自動車や洗濯機やパソコンなどは放っておけばいつかは誰かが造る。しかし人類の歴史の中で支配、被支配の関係は戦争によってのみ解決されてきた。強者が自ら譲歩することなどあり得ない。戦わない者は支配されることに甘んじなければならない。

戦争によってのみ解決? 譲歩することなどあり得ない?
もはや事実が見えなくなっているようです。

アフリカ諸国は1960年代に次々と独立を果たしましたが、
それらの国々はみな欧州の宗主国と戦争をして解決させたのですか?

日本の独立も、沖縄の返還も、戦争で勝ち取ったのではありませんよ。

筆者は話し合いでは何も解決しないとのお考えのようです。
関係を変えたいならば戦うしかない! と。


余計なことかもしれませんが、
車やパソコンなどを例えに持ってくると、試験ではバツとなると思われます。
この場合、
「放っておいても立場が変化しないもの」と対比させたいなら
「時間が経てば自然に立場が変わるもの」を挙げなければダメだよねぇ。
車みたいに「(放っておいても)開発されるもの」を持ち出しても何の意味もない。
関係が変わるのか変わらないのかを述べたいわけだから。

例えばこんな感じ。
「新入社員は最初は一番下っ端だけれども、時が経てば後輩を指導する立場になる。
しかし人類の歴史の中で支配、被支配の関係は‥‥‥」と。

それと、当然のことですが、
車やパソコンなどは、放っておいても出来上がるわけではありません(笑)

あなたが放っておこうとおくまいと、
誰かが行動を起こさない限り前へ進まないのは同じことです。

そういう意味でも、何の対比にもなっていませんでした。

話がそれました。

次から「濡れ衣」発言まで全文紹介。
さて大東亜戦争の後、多くのアジア、アフリカ諸国が白人国家の支配から解放されることになった。人種平等の世界が到来し国家間の問題も話し合いによって解決されるようになった。それは日露戦争、そして大東亜戦争を戦った日本の力によるものである。もし日本があの時大東亜戦争を戦わなければ、現在のような人種平等の世界が来るのがあと百年、2百年遅れていたかもしれない。そういう意味で私たちは日本の国のために戦った先人、そして国のために尊い命を捧げた英霊に対し感謝しなければならない。そのお陰で今日私たちは平和で豊かな生活を営むことが出来るのだ。

支離滅裂……。

◯日本はアフリカ独立を目標に掲げ戦争を起こしたわけではない。
◯戦争に勝って各国の態度を改めさせたわけでもない。
◯話し合いより戦争を選んだのは日本である。(筆者も戦いを勧めてるし)

よって
人種平等の世界も、話し合いによる解決も、アフリカ諸国の独立も
み〜んな日本の戦争のおかげ。100年、200年遅れたかも……
などというのは、

もはや妄想に等しい。

そこまでして戦争を賛美したいのか? と唖然となる。
一方で大東亜戦争を「あの愚劣な戦争」などという人がいる。戦争などしなくても今日の平和で豊かな社会が実現できたと思っているのであろう。当時の我が国の指導者はみんな馬鹿だったと言わんばかりである。やらなくてもいい戦争をやって多くの日本国民の命を奪った。亡くなった人はみんな犬死にだったと言っているようなものである。しかし人類の歴史を振り返ればことはそう簡単ではないことが解る。現在においてさえ一度決定された国際関係を覆すことは極めて困難である。日米安保条約に基づきアメリカは日本の首都圏にも立派な基地を保有している。これを日本が返してくれと言ってもそう簡単には返ってこない。ロシアとの関係でも北方四島は60年以上不法に占拠されたままである。竹島も韓国の実行支配が続いている。

実に奇妙な展開を見せる第12段落。
これだけ「愚劣な戦争」派の言い分を並べたのだから、
この後さぞかし説得力のある筆者の主張が展開されると思ったのだが……
自分で振り返ってくれって?

と思う間もなく、話はいきなり米軍基地、北方四島、竹島問題の話題に移るのだが、
なんでここでこれらの問題を持ち出してきたのか意図が全く分からない

「現在においてさえ」という言葉を使ってる以上、
明らかに前の文章を承けているんだけれど、つながりが全くない
「歴史を評価するのは簡単ではない」という話が、
なぜ突然、「国際関係を変える事は難しい」という話になるのか。

わけの分からない展開にあきれるばかり。
東京裁判はあの戦争の責任を全て日本に押し付けようとしたものである。そしてそのマインドコントロールは戦後63年を経てもなお日本人を惑わせている。日本の軍は強くなると必ず暴走し他国を侵略する、だから自衛隊は出来るだけ動きにくいようにしておこうというものである。

またこれも自虐的だなぁ〜。

戦後63年経ってもマインドコントロールされ続けるほど日本人はアホだってこと?
根拠もなしに「マインドコントロールのせいだぞ〜」と
逆にマインドコントロールしようとしてませんか?
すでに侵略か否かというテーマから大きく逸れていますが。
自衛隊は領域の警備も出来ない、集団的自衛権も行使出来ない、武器の使用も極めて制約が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されている。諸外国の軍と比べれば自衛隊は雁字搦めで身動きできないようになっている。このマインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない。

過去の日本軍の行動を何の反省もなく肯定し、
300万人もの犠牲者を出した戦争に対しても何の反省もなく肯定し、
政府の見解にも真っ向から反対し、
さらに「自衛隊をもっと自由に動けるようにしろ」とまで言い出す自衛隊指揮官を
無邪気に賞賛することの怖さ

これこそ平和ボケと言うにふさわしい。
アメリカに守ってもらうしかない。アメリカに守ってもらえば日本のアメリカ化が加速する。日本の経済も、金融も、商慣行も、雇用も、司法もアメリカのシステムに近づいていく。改革のオンパレードで我が国の伝統文化が壊されていく。日本ではいま文化大革命が進行中なのではないか。日本国民は20年前と今とではどちらが心安らかに暮らしているのだろうか。日本は良い国に向かっているのだろうか。私は日米同盟を否定しているわけではない。アジア地域の安定のためには良好な日米関係が必須である。但し日米関係は必要なときに助け合う良好な親子関係のようなものであることが望ましい。子供がいつまでも親に頼りきっているような関係は改善の必要があると思っている。

もはやテーマなどどうでもよく、筆者の感情のおもくむままに……。
日本ではいま弾圧・虐殺・静粛の嵐が……。
自分の国を自分で守る体制を整えることは、我が国に対する侵略を未然に抑止するとともに外交交渉の後ろ盾になる。諸外国では、ごく普通に理解されているこのことが我が国においては国民に理解が行き届かない。今なお大東亜戦争で我が国の侵略がアジア諸国に耐えがたい苦しみを与えたと思っている人が多い。しかし私たちは多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価していることを認識しておく必要がある。タイで、ビルマで、インドで、シンガポールで、インドネシアで、大東亜戦争を戦った日本の評価は高いのだ。

途中で突然の急展開!
根拠もなくいきなり「評価は高いのだ」。

■秦氏
日本軍が華僑虐殺をしたシンガポールでは、最近まで反日的な空気が強かったと承知している。独立国だったタイも日本軍の駐屯で被害を受けているので、感謝しているとは思えない。
何より、列挙には、一番損害が大きかった中国が入っていない。
満州事変に触れなかったのと同様、重要な史実からは逃げ、都合の良い話だけをつないだように見える。


筆者の言う「多く」とは何をもって「多い」としているのだろう?
肯定的に評価する人が1万人いれば「多く」感じるけれど、
否定的な人が100万人いたとしたら、肯定的な人はゼロに等しいよ。

この筆者は、平気で満州事変を無視するような人だから、
当然、否定的な評価も見ないフリしてる可能性が高い。
とすると肯定的、高評価が「多く」感じるのは当たり前。

各国が肯定的に評価していると言うなら、
それぞれの国としての公式見解など提示すべきですよね。
政治家が2、3人評価した程度じゃお話になりませんよ。
そして日本軍に直接接していた人たちの多くは日本軍に高い評価を与え、日本軍を直接見ていない人たちが日本軍の残虐行為を吹聴している場合が多いことも知っておかなければならない。日本軍の軍紀が他国に比較して如何に厳正であったか多くの外国人の証言もある。

多くのアジア諸国…、多くは…、多い…、多くの…

抽象的な表現ばかりで具体的な記述は皆無
その評価している人たちって一体どのような立場の人なんでしょうね。
具体的なデータを一切示さずに主張しても全く信用に値しない。
我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣である。

お疲れさまでした。
日本の場合は歴史的事実を丹念に見ていくだけでこの国が実施してきたことが素晴らしいことであることがわかる。 私たちは輝かしい日本の歴史を取り戻さなければならない。歴史を抹殺された国家は衰退の一途を辿るのみである。

あの暗い時代を「輝かしい」だってよ!

■秦氏
論文というより感想文に近いが、全体として稚拙と評せざるをえない。
根拠となる事実関係が誤認だらけで、論理性もない


■西原正氏(前防衛大学校長)
どこの国にだって人に語りたくない暗い歴史の裏面がある。
過去の間違いをすべて否定して、だから自分の国はすばらしいと言うのは 不健全ではないか。



まだ続きます。
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

カテゴリ一覧
政治,平和,憲法,歴史など‥‥‥特に分類していないものすべて
田母神論文騒動‥‥‥子供の作文みたいな論文を分析してみました
NHK台湾騒動‥‥‥なんか「Japanデビュー」が偏向だ捏造だと騒ぐ人たちがいますけど・・・
産経新聞につっ込む‥‥‥非論理的な「正論」とか言ってることおかしいよね
安倍(政権)批判‥‥‥選挙で大敗しても辞めないというので
内閣支持率‥‥‥安倍内閣のです
ひとりごと‥‥‥どうでもいいこと、テーマと関係ないこと
小林「天皇論」を読む‥‥‥思いきって「天皇論」を批判してみる

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。