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天皇論/権威主義

小林氏は「反権威」という立場らしい。
反権威と言っても、「権威」がこの世に一切なかったら、社会は無秩序になってしまう。 あくまでもわしは「形骸化した権威」に反対するのであり、「権威主義」が嫌いなのだ!(8頁)

わしは真に必要な「権威」は否定しない。だが「形骸化した権威」は必要ないし、なにより「権威」に無条件ですり寄って、「権威」のないものを馬鹿にする「権威主義」というものが大嫌いだ!(22頁)

わしが否定しているのは「形骸化した権威」であり、さらに権威を振り回す「権威主義」である。(343頁)

えーっと‥‥、つまり小林氏は「形骸化した権威」は否定するけど、
「真に必要な権威」(=天皇)にはすり寄る

権威主義者ってことですね。

これだけ徹底的に「天皇という権威」を振り回しているのだから
立派な権威主義者ですよね。いったいどこが「反権威」なんだろ。


小林よしのりという人は、
戦前を肯定し、先の大戦を肯定し、
天皇への一途な思いがあるとして、割腹自殺した右翼を好意的に紹介し(85頁)
「果たして自由とはそんあにありがたい価値なのか?」(313頁)
国民主権は「危険な思想」(256頁)で「有害無益」「愚の骨頂」(257頁)と言い、
現憲法よりも「明治憲法の方がよっぽど健全」(261頁)と考え、
今の憲法を否定する!(366頁)
と宣言する人なんですよね。

こんな極端な考え方をする人(いわゆるウヨク)が、
読者に天皇を崇拝させようとして一生懸命書いた本が「天皇論」。
右翼の最大の目標は、天皇崇拝、天皇中心の国をつくることですからね。

この「天皇論」という本は、
名の知れた漫画家が勉強して書いた本、というより
右翼が自らの主張を漫画にしたもの、と考えるべきじゃないですか。

この本に書かれている天皇は、小林氏にとって都合のいい天皇。
中立的・公平な立場で書かれたものではありません。

しかもね、これだけ「権威」を振り回し、天皇を賞賛し、
天皇を信じるとか、敬意を払うのが当然などいいながら、こうも言う。
(小林氏は憲法改正賛成派だから)
もし天皇が憲法改正反対を明言なさったらわしは逆賊になる!(366頁)
(国旗国歌は「強制でないことが望ましい」とする天皇に反対だから)
逆賊の汚名を着るかもしれんなぁ(368頁)

自分の考えに合わない時は「逆賊になる」ってさぁ、結局、

自分に都合のいい「権威」を利用してるだけじゃん。

自分の考え方に合う「権威」は賞賛し、
自分の考え方に合わない「権威」は否定する。
たちの悪い「権威主義者」だね。

さらに小林氏は、
天皇が政治に口出しできないことをいい事に、
天皇の内心を自分の都合のいいように勝手に憶測で決めつける。
(↑これは後で別に書く予定)

戦前の軍部もこんなことやってたよね。

そういう人間が、あらゆる手を使って、
読者を天皇崇拝へ向かわせようとしている本
という事を意識して読まないと、簡単にコロッといっちゃいます。

そうならないために、この本を批判していきたいと思います。


■一応、私の立場を書いておきます。

私は「天皇論」の批判はしますが、天皇制に反対ではありません。
まして天皇制廃止など考えたこともありません。
私は日本史大好き人間です。教科書にはたくさんの天皇が登場します。
だから日本には天皇がいることが当たり前という感覚です。
百人一首もほぼ全て覚えたこともありました。

今の天皇にも親しみを感じていますし、
この先も日本に天皇という存在はあり続けるものだと思っています。

が、

天皇は神につながる存在である、とか
天皇の祖先は神であり、ずっと続いている、などと言って
日本人なら天皇を尊敬しなければならない、尊敬すべきである、

と、敬意を強制するような主張には反対します。
個人崇拝を強要される世の中はご免です。
どこかの国じゃあるまいしね。
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